─屈斜路湖砂湯─

 道東屈指の観光地、屈斜路湖。道内ではサロマ湖に次いで第二位の大きさを誇るこの湖は見所も多いが、その中でも最も有名な名所の一つが、砂湯である。屈斜路湖の東岸の砂浜で、手で少し掘っただけでも湯が出る。もっとも、肩まで浸かるにはスコップで相当な時間をかけて掘り下げなければならない。砂浜に板だけで囲われた浴槽もあるし、以前に掘られた穴もあるのでそこに浸かることもできるが──それでも入るには相当の精神力が必要とされる。
 なぜならば、ここは観光バスが何台もやって来る観光名所であり、土産物屋もあって、昼間はひっきりなしに観光客がやってくるからだ。しかしそれを乗り越えて湯に浸かれば、正真正銘の一〇〇%天然温泉を体験することができる。それも広大な屈斜路湖を目の前にして。筆者は写真の通りはじめから開いていた穴に友人と共に浸かった。友人とノリだけで浸かったので恥ずかしさは特にないのだが、浅くて全身湯に浸かるには寝そべらなくてはならなかったし、何より砂まみれになる。もっともそこが面白いのだが。まあ夜間であればそれほど人目もないと思うが、それでは屈斜路湖の景観が楽しめない。やはりここは恥を忍んで昼間に入るべきである。なお、冬季は屈斜路湖が全面結氷するほどの気温が下がるが、それでも入れないことはないようだ。屈斜路湖はオオハクチョウの飛来地としても有名なので白鳥を見ながら温泉入浴と洒落込むのも悪くないだろう。
 また、すぐ近くにクッシーと呼ばれる恐竜の像があって、観光客がよく写真を撮っている。これはイギリスのネス湖のネッシーと同じく、屈斜路湖で目撃されたという恐竜だ。札が掛けてある通り壊すと「罰金百万円」らしいので、手を触れないように。
 屈斜路湖の周囲は温泉の宝庫で、近くの川湯温泉は道内でも有名な温泉地。やはり近くにある観光名所でもある硫黄山(アトサヌプリ)では吹き出すす噴煙と山のように折り重なった硫黄の結晶を間近で見られる。有名な摩周湖も近く、周囲一帯を巡るだけでも十分な観光旅行が出来る場所である。

近くの硫黄山(アトサヌプリ)。間近で見る噴煙と硫黄の山は迫力満点。

摩周湖。阿寒湖や釧路湿原もそう遠くなく、周囲は観光スポットに事欠かない。

<屈斜路湖砂湯>
所在地:北海道川上郡屈斜路砂湯
泉質:単純温泉
泉温:35~56℃
湧出量:─(自噴)
PH値:6

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