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紅葉紀行
其之四、大姥山 ハ、大穴
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 大姥神社本宮から険しい大姥山を登った山頂近くに、大姥様と金太郎が住んだという洞穴がある。地元では昔からこの洞穴を「大穴」(おおあな)と呼んだ。

大姥神社本宮からは、このような鎖を使って斜面をよじ登らねばならない。鎖は計十個以上張られていて、大穴までの行程の半分近くを占めている。大姥山は非常に険しい山なのである。

険しい斜面に穿たれたように開く大穴。ここで紅葉鬼人と金太郎が暮らしたという。

大穴は大姥神社奥宮ともなっている。大穴の幅は約三〇メートル、高さと奥行きは約七メートル。この大穴の下には金太郎と熊が遊んだ「つぐら」という洞穴もある。

奥宮に備えられた鎌。これを借りると子供の虫除けになり、治ったら鎌を倍にして返すという風習がある。八坂村では大姥様は歴とした信仰の対象である。大姥山は古来より聖地とされてきて、女性が登ると天候が荒れるといって恐れられもした。大姥様がここに住んでいる頃、女性がやってこようとしたとき、血の雨を降らしたという伝承もある。また大姥山の祭りの日には必ず雨が降るという。訪れた日も麓では日も差したのに山に入ると大雨になった。下りたらまた晴れてきた。雨が降ると急な斜面の足場がさらに悪くなり、鎖を持つ手も滑って危険である。

大穴の天井にある穴は、新潟県青海町の山姥洞に通じているという。真偽は定かではないが、青海町の山姥洞のある地名を上路(あげろ)といい、八坂村の大穴のある場所を上篭(あげろう)という。また青海町には坂田峠や金時坂などがあり、やはり金太郎伝説を伝えている。二つの地域には何らかのつながりがあるのであろう。紅葉鬼人の夫、八面大王は安曇野の古代の土着勢力、安曇族との関係も指摘されているが、その安曇族は日本海から糸魚川あたりにたどり着き、中央構造線(フォッサマグナ)沿いに安曇野へ入ったという。青海町は糸魚川の隣、八坂村も安曇野の隣、そうした関係を物語るものであるかもしれない。

穴の向かって右側には上の写真にある祠があるが、左側はこのようなドーム状の不思議な空間になっている。大穴は砂岩のようなもので形成されていて、触れるとぽろぽろと崩れてくる。それだけに部分部分で侵食されていて、また砂岩らしい縞模様も形成され、さらにヒカリゴケらしきものも付着していて、実際にこの場所に立ってみるとこの写真では表しきれない不思議な感じを受ける。

左側ドーム状部分の拡大。この混沌とした渦巻き模様を眺めていると、幽世(かくりよ)とか異界とかいったものが見えてくる気がする。まさしくここは信仰の場所であろう。大姥様以前にここは神託を授かるような場所だったのではないか。紅葉鬼人とは、やはり神託を受ける巫女だったのだろう。

大穴より麓を望む。雨で霞んで分かりにくいが、麓を流れるのが犀川である。犀川沿いに国道一九号線が走っている。八坂村には金太郎と熊にちなんだ金熊川という川も流れている。大姥山は荒倉山と同等以上に神秘の色彩の強い場所である。



大姥山への案内
 大姥山は八坂村の北、信州新町との境にそびえる標高一〇〇六メートルの山。麓に前宮があり、中腹に産池と本宮、頂上近くに大穴がある。
 前宮は八坂村の東の端を走る国道十九号沿いの、西側に鎮座する。小公園になっているのですぐに分かるだろう。赤土というバス停もある。
 前宮から県道四六九号舟場矢下線に入る。しばらく進むと、右側に大姥山に関するのいくつかの案内板が見えてくる。ここが大姥山の入口。ここを右折して林道に入っていくのだが、入口に「車要注意」と書いてあるように非常に狭い道なので注意。大方は舗装されていることはされているが、ガードレールもなく崖沿いの場所もあるので十分注意して走りたい。林道をしばらく進むと左側に産池の看板がある。車を降りてちょっとだけ歩くと産池がある。
 林道を先に進んでいくと、車が数台止められる場所があって、トイレもある。ここが林道の終点。ここから歩いて先に進むと鳥居があって、程なく本宮にたどり着く。ここまでの歩きは比較的容易だ。ちなみにトイレの手洗い水は飲料水でもあり、ここが最後の給水場所になる。
 本宮の左にさらに道が続くが、ここからは本格的な登山となる。かなり険しい道が続き、やがて上の写真にあるような鎖づたいに登る急斜面の岩場となる。所々金太郎の看板などがあり、ハイキングコースにもなっているが、気軽なハイキングという訳にはいかない。それなりの体力はもちろんのこと、ある程度山登りの経験もあったほうがいいだろう。特に下りは気をつけよう。険しい山登りを三~四〇分続けると、途中金太郎の看板のある分岐点があり、そこを左に行くと大穴にたどり着く。右に行くと大姥山山頂。
 荒倉山に比べると、主要路からの車での行程は短いが、荒倉山よりもさらに悪路である。また何度も書いたように徒歩での行程ははるかに長く険しい。荒倉山に比べて山自体の標高も低く、大穴も千メートルを切る標高だが、全体的に紅葉の岩屋へ行くよりも厳しい行程であろう。十分な時間と体力、余裕のある計画をもって行って欲しい。また訪れた日は、既に書いたように山に入った途端大雨となった。それでも登れないことはないが、より一層の注意が必要。鎖を持つ手も滑るので、軍手などがあったほうがいい。またなぜか大型の蜂が頻繁に寄ってきた。特に刺されはしなかったが、急斜面の連続で一息入れたくても蜂が寄ってきてなかなか休ませてくれない。虫除けも必要か。
 なお県道四六九号舟場矢下線をさらに進むと布川峠を経由し、途中の交差点を右へ折れると八坂村の中心部へ出ることができる。県道五五号大町麻績インター戸倉線と交わったところを右に行けば大町市、左に行けば国道十九号に戻り、さらに行けば長野自動車道麻績インターである。


大きな地図で見る
大穴の場所は左の地図の通り。



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