紅葉紀行
其之六、秋の戸隠 ホ、お万の墓 呉葉門へ戻る
紅葉が戸隠に流されて後、配下に加わったという鬼の「お万(まん)」。二十三、四のうら若き女なれども、怪力無双、性質凶暴で山に暮らしていたが、力において並ぶ者なく、一夜のうちに鳥のごとく数十里を駆ける俊足の持ち主でもあったという。
維新の紅葉征伐の際は岩を投げつけるなどして奮戦。戦いの後も戸隠山の麓まで逃げ延びた。しかし戸隠中社の西にある硯石で手足の血を洗って一息ついたとき、急に世の無常を感じ、本坊観修院(現在は久山館という旅館)へ行き、髪を落として尼となった。そしてこれまでの罪業を懺悔し、亡き人々の菩提を祈って、最後は自害したという。
観修院の僧正はそんなお万を哀れに思い、丁重に葬った。その墓が今も戸隠中社近くに残る。
お万の墓全景。「足神社(あしがみしゃ)」呼ばれる神社となっている。
足神社社殿。お万が健脚であったので、足の神として信仰を集めている。
社殿内には石の祠がいくつか祀られている。
社殿を斜めより撮影。かつての反逆者が足神様となっているあたり、アラハバキ神との共通性を感じるのだが、どうか。
お万の墓の解説板。お万の遺髪が保存されており、古くから「七難の毛」として全国に知られていたという。また地元では通称「お万ぼぼの毛」と呼ばれることもあり、俗謡に「お万ぼぼの毛長いとも、千本つなげば江戸までも」と謡われた。
お万の墓への案内
お万の墓は、戸隠観光の中心である中社集落の西の外れ、上に書いた久山館の西南にある。戸隠神社中社と県道三十六号線を挟んだ向かい、戸隠観光会館の西へ歩いていくと見つかる。中社から鏡池へ至るハイキングコースに入ったところにあり、そのハイキングコースを進んでいくと途中に上述の硯石もある。
車を降りて少し歩けば着く場所なので決してアクセスが悪いわけではないが、多少分かりにくいのも確かなので、観光会館か戸隠神社中社、または近隣の店で聞いてみれば分かるだろう。観光会館は大きな駐車場があり、飲食すれば駐車場は無料なので、ついでに戸隠そばも味わいたいところである。この一帯は信州きっての観光名所であり、見所は沢山ある。特に紅葉の季節は絶景と新そばが楽しめる。
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お万の墓(足神社、足神さん)の場所は左の地図の通り。やや分かりにくい場所にあるので、上の案内を参照のこと。 |
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