邪神大神宮 道先案内(ナビゲーション)
鳥居(TOP)斎庭(総合メニュー)万邪神殿土蜘蛛宮土蜘蛛紀行 大和編 其之壱、葛城
>イ、高天
土蜘蛛紀行一覧 



土蜘蛛紀行 大和編
其之壱、葛城─イ、高天
 八束脛門へ戻る



狭山田女:ここはどこかな?随分山深いところだね。
大山田女:ここは奈良県御所(ごせ)市高天(たかま)。いわゆる大和国の葛城と言われる場所の一角です。手前の三角形の山の奥に金剛山があります。このあたりの山々を昔は葛城山と言ったんですよ。まずは三角形の山の麓の、神社にお参りしましょう。

狭山田女:へえ~、ここが葛城かあ。
大山田女:そうです。土蜘蛛の旅は、「土蜘蛛の中の土蜘蛛」、葛城山の土蜘蛛を訪ねるところからはじめましょう。葛城山の土蜘蛛については、こちらを参照して下さいね。
狭山田女:それにしても立派な参道だね。
大山田女:ここは高天彦(たかまひこ)神社という、とても由緒のある神社です。ここで旅の無事をお祈りしていきましょう。
狭山田女:あ、あそこに案内が書いてあるよ。

狭山田女:えっ?!ここがあの神話の「高天原」なの?!
大山田女:そう言い伝えられています。国内に高天原だと言われる場所は幾つかありますが、ここはその中でも最も由緒ある場所の一つです。ここははるか古代から尊ばれてきた場所なんですよ。案内の後半にも面白い事が書かれていますね。

狭山田女:「葛城王朝」かあ……大和の、一番はじめの頃だね。
大山田女:初代神武天皇から九代開化天皇までがそうだと言われています。もちろん否定する学者もいますが……ここ葛城には、それを否定しきれない古の痕跡が多いのも、事実です。
狭山田女:なるほどねえ……まずはお参りお参り、と。

大山田女:実は社殿の左脇に、土蜘蛛を葬った塚があるのです。
狭山田女:えっ!どこどこ?!
大山田女:大変残念な事に、邪神大神宮の大宮司はその存在に気付かなかったので、写真はありません。
狭山田女:(ガクッ)ま、まあ、代わりに私達がお参りしておこうか。

大山田女:これが、その塚ですよ。
狭山田女:あれ、写真ないんじゃなかったの?
大山田女:大宮司が、写真を撮るために改めて参拝したのです。
狭山田女:大宮司も、よくやるねえ。我らが同胞の土蜘蛛さん、安らかに眠って下さい……。

大山田女:次は、神社の真向かいにある、あの森に行きましょう。
狭山田女:うん……て、行けるのかな?
大山田女:大丈夫です。ちょっと心細いながらも、ちゃんと道がありますから。
狭山田女:……あれ、ここから獣道みたいになってるけど、本当に大丈夫かな。

大山田女:これが、土蜘蛛住んでいたという場所、蜘蛛窟(くもくつ)です。地元には、ここに千本の足を持つ土蜘蛛がいて、時の天皇の悩みの種であったので、勅使が矢で射殺したという伝説があります。この蜘蛛窟も、先程の塚も、この伝説に基づくものです。
狭山田女:へえ~、何だか窟というよりは、古墳みたいな感じだけど。

大山田女:土盛の上ですからね。本当は「土蜘蛛」と呼ばれた、土着の人の墳墓なのかもしれません。
狭山田女:石碑自体は、結構新しいのかな。
大山田女:この石碑は、昭和十五年、皇紀二千六百年を記念して建てられたもののようです。日本書紀には、神武天皇の軍が土蜘蛛を討ったとありますから。
狭山田女:地元の伝説だと、まるで平安時代くらいの話みたいだけど。土蜘蛛も、中世以降みたいに、蜘蛛の妖怪になっちゃってるし。
大山田女:そうですね。でもおそらく、ルーツは日本書紀の話と同一だと思います。「天皇の使い」というところに、神話の痕跡を留めていますね。

狭山田女:そうだね。少なくとも、同じ葛城を舞台にした、能の話よりはルーツが古そうだね。頼光も出てこないし。
大山田女:そうですね。中世以降の、妖怪化した土蜘蛛の伝説は、必ずと言っていい程、頼光とセットになっているのですが、ここの伝説にはそれがありません。それだけ原型に近く、古い伝承ということですね。おそらく、日本書紀にも記された神話が、独自に地元に伝えられて、長い間に変わって行ったのでしょう。それには、この高天という、古代には非常に神聖視された場所に重なっているのも、関係しているでしょうね。後世の伝説の影響を受けにくくなる程、この地の古代信仰の影響力が、後世まであったのではないでしょうか。
狭山田女:それこそ「葛城王朝」と関係するようなものがあった、ていうことかな。
大山田女:そうですね、そしてそれは葛城の土蜘蛛の真相に迫るものかもしれません。古代、朝廷からも神聖視された場所と重なり、能「土蜘蛛」に取材され後世の土蜘蛛伝説の核にもなって、かつその影響も受けていない。こんな場所は他にありません。ここは、土蜘蛛伝承地の中でも、最も重要で注目すべき場所と言っていいと思います。


大きな地図で見る
狭山田女:そうだね。ここも今はひっそりとしてるけど、それがかえって厳かに感じるね。
大山田女:では次は、葛城地方の古代信仰において、最も重要と呼べる場所に行きましょう。
狭山田女:高天への行き方は左の地図を参照してね。



ロ、高鴨神社へ 上へ戻る 道先案内へ戻る