狭山田女:おおっ、雄大な眺めだね。
狭山田女:目的地ってのは、この神社かな。
大山田女:行宮というのは天皇の行幸時などに設けられる臨時の御所のことですが、この場合は戦に際してのものですから、陣地のようなものでしょうね。
狭山田女:それだけ条件が揃ってると、ます大分川を遡ったとしか考えられないね。第一日本書紀の順番にも合ってるんでしょ?まず行宮を建てて、それから青さん白さんを討ったっていう。
大山田女:ここに禰疑野(ねぎの)の土蜘蛛を征伐したときに行宮を建てた跡、と書いてあるでしょう。「宮処野」という地名は、風土記の直入郡、古くは「なおり」、今は「なおいり」と読みますが、その中に朽網(くたみ)の郷に在る野原、と書いてあります。
狭山田女:青さん白さんとの戦いでも、相当苦戦したっぽい事が書いてあったしね。体勢を立て直すために、一旦陣地に戻ったって事は十分有り得るね。何にしても、ルートが複雑になるくらい、このへんの土蜘蛛との戦は激しかったって事だね。
狭山田女:これが拝殿だね。お正月前だから、門松が飾ってあるよ。
狭山田女:こっちが本殿。神社の後ろはかなりの急斜面だねえ。
狭山田女:そういう事もあるのか。境内には沢山祠があるね。火山が近くにあるなら、ここは古くからその神様を拝む場所だったのかも。
狭山田女:火山の麓に「神の河」と「湯の河」か。温泉の神様かな。
大山田女:平安時代、この神社の神主でもあった地方領主の娘が、嵯峨天皇に召されて宮中に奉仕し、天皇崩御後は故郷に戻って、天皇からの贈り物を境内に埋納してその冥福を祈ったとあります。ちなみに碑文の「紀元」は西暦ではなく皇紀ですね。
狭山田女:あの屋根の下にあるのは何かな。
大山田女:はい、着きました。ここがその七里田(しちりだ)温泉です。
狭山田女:こっち?何だか川沿いに渋い建物があるよ。あっ、「日本無類の炭酸泉」って書いてある。
狭山田女:弥生時代から古墳時代には温泉を中心に栄えてたって書いたあるよ。景行天皇がこのあたりに行宮を作ったってのも納得。こりゃ確かに「臭い泉」も温泉かもね。
狭山田女:おおおっ、外見もだけど中はもっと渋い温泉だなあ。| 狭山田女:うわわわわわ、アワアワだあ。凄いよこれ。こんな温泉が自然にあるんだ。 大山田女:日本ではこのような温泉は滅多にありません。飲めば胃腸にも効くそうです。ただ、二酸化炭素濃度が高過ぎるので、酸欠に注意するようあちこちに書いてありますが……。それだけ恵み豊かな温泉だということですね。 |
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狭山田女:いや~、いい湯だね。景行天皇もこの湯に浸かったのかもしれないなあ。戦の疲れを癒すには最高だよ。 大山田女:何しろ激しい戦だったようですからね。温泉で疲れを癒したら、私達もその戦の跡をたどりますよ。宮処野神社への行き方は、左の地図を参照して下さい。ちなみに、七里田温泉については、作者の大宮司が運営する、こちらのブログへ……。 |